ハラ生き道ができるまで その4 ~「ゆるむこと」とおぜっきー~
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合気道というのは、「ゆるむこと」を主体とした武道なのです。
もちろん色々な流派がありますけれども、多くの流派では試合がなく型の稽古をする。
そのとき、「リキみ」があると技が掛からなかったり、それで強引やると怪我をしたりするのです。
上手な先生ほど、余計なリキみがなく、こちらは気持ちよく投げられてしまう。
ぼくが通っていた町道場にはヘタなおじさんも山ほどいたけれども、中にものすごい技術を持った人もいて、20歳のぼくはコロコロと投げられていた。
どれだけ思い切り持っても、気がついたら投げられているのが嬉しくて、何度も何度も投げてもらった。
「力を抜きなさい」
道場では、何度も何度もそのフレーズを繰り返される。
ぼくとしてはリキんでいるつもりはない。
そして「力を抜きなさい」と言われても、どこの力をどう抜いていいか分からない。
実際に力を抜いて「ふにゃっ」としてみると、「そうじゃない」と言われる。
「アンタが力を抜けって言ったんだろ」とイラっとくる。
若く血気盛んなおぜっきーは苛立っていた。
けれども「ゆるむこと」が真理らしいことには、そのころすでに気づいていた。
「ゆる」と言えば高岡英夫ということで、ずいぶん「ゆる」理論の本も読みこんだものだ。
そしてそのころから若干の呼吸法を行っていた。
とてもカンタンなもので、「吐く息を長くする」「息を吐ききる」というレベルのものだった。
それでも当時のぼくには、それなりの効果があった。
いやそれ以上に
「今は変な症状が出ていて不安だけれども、ゆるみさえすれば元気になれるんだ」
という希望が、ぼくのなかの救いだった。
そして、大学4年の夏になり1社から内定をもらうと、自律神経系の症状も知らぬ間になくなっていった。
とはいえ生来のナイーブさが消えるわけではない。
次に自律神経の症状に悩まされたのは、一人暮らしをはじめてからだった。
続く。