絶好調な人を見てスゴイとか言ってるけど、「スゴイかどうか」はうまくいかないときにわかるんだぜ?
最近、つくづく思うんです。
人って実績じゃないよなって。
ぼくはね、ずっと結果主義というか、こう、実績のある人が素晴らしい人だと思っていたわけです。
「デキル人」でありたいと願い、「デキない人」をさげすむ。
結果が出ないのは、やり方が間違っている。
成果が上がらないのは、悪いこと。
いつのころからかよく分からないんだけど、ぼくにはそういう考え方が染み付いていました。
優等生で通ってきて、偏差値で評価され褒められてきたからかな?
まぁ、原因なんざどうでもいいわけですが、とにかく「努力することで実績があがる」という考え方に違和感が出てきたんだよね。
あとは「成果は実力に比例する」とか「自己肯定感が高いと、お金が稼げる」とかさ。
なんかスゲーむりくり因果関係つくってない?
って思うわけですよ。
だって実力がないのに売れるとかザラにあるじゃん?
こないだ、ある有名なご飯屋さんに行ったんですが、店員の態度は最悪、味もふつうですごいショックだったんですよ。
でも、外には長蛇の列。
歌が下手くそでも、バラエティ能力なくても、可愛くなくても、事務所のチカラで売れるアイドルもいるでしょう?
逆に、ホンモノだからこそ世に出ず埋もれているということもあります。
よくね「本当に素晴らしいモノやサービスは勝手に広まっていく」っていう誤解があるんですが、あれ完全にウソだと思いますよ。
だってもし「素晴らしいものが勝手に広まっていく」なら、いま日本に世界に、素晴らしいものが満ち溢れているはずじゃないですか。
でも、現実はそうではない。
ってことは、「素晴らしいものでも勝手には広まらない」んですよ。
なんでって、ホンモノをわかる人は少ないから。
エゴの塊の人が選んだら、そりゃエゴ的な商品を選ぶじゃないですか。
だから、ホンモノなんざ、そうそう広まらないんですよ。
ゴッホの絵は、生前1枚しか売れてないんですよ?
だからさ、「今うまくいってるかどうか」って、スゴイかどうかの基準にならないわけです。
むしろ、その人のスゴさというのは、「うまくいってないとき」にこそ見えるものです。
人間には、どんなに頑張ってもうまくいかないことがあります。
肉体をもって生きる以上、限界というのがあるのです。
たとえば、自分で手も足も動かせない状態で生まれる命がある。
たとえば、乳児のうちに飢餓でなくなる命がある。
たとえば、親の都合でロクな教育が受けられないことがある。
そう、この世はぼくらの意志ではどうにもならないことが多すぎるのです。
それをね、「引き寄せ」だとか「ぼくにできたから、君にもできる」とか、かなり浅はかだし無責任だと思うんだよね。
たしかに狭い視点で見れば、「引き寄せ」的なことはあるのかもしれない。
「キミにもできる!」と勇気を与えることで、何かを達成するかもしれない。
でも、だからなんだって言うんだ。
ぼくらには、もっともっとそれ以上に「どうにもならない壁」があるんです。
それを見ないフリするのは、欺瞞だ。
だってあるんだもん。
「潜在意識を変えれば、キミにもできる!」ってアンタ、ピカソから「君もぼくのような絵が描けるようになる!」って言われたらシンドイでしょう?
そんなん無理やん。
とにかくね、ぼくは「うまくいってる人=スゴイ」の図式がアホらしいと言いたいわけ。
誰だって、スムーズにいくときもあれば、なんか失敗ばかりの時もあるんだよ。
それなのに成果とか見てると、いちいち一喜一憂して面倒でしょう?
だから、そこじゃないところ、つまり「いのち」を見ていくしかない。
淡々といのちは流れている。
いのちは残酷だ。
若くして奥さんが亡くなることもある。
身内が交通事故に遭うこともある。
子供が自分より先に亡くなることもある。
それはさ、「引き寄せ」なんかじゃ絶対に説明つかないの。
潜在意識下でも、だれがそんなこと望むかって。
この事例だけでも、引き寄せなんてウソっぱちって分かるでしょう?
だからぼくは、引き寄せなんて今すぐやめろって言ってるんです。
ぜんぜん地に足が着いてないんだよ。
カラダが出来てない。
だからテクニックに走る。
ほんとに「引き寄せ」なんてクソだよ。
そんなことよりも、「仕方のないことを受け入れていくこと」のほうが、もっともっと大事なんだ。
「いのち」にテクニックは通用しないんです。
「いのち」に対しては「いのち」をぶつけるしかない。
みんな誰にも言えない悩みを持ってる。
心に秘めてる傷がある。
かなしい出来事に、こころ折れることがある。
そんな「いのち」に対してはテクニックはまったくの無力だ。
ただ抱きしめ、ただ寄り添い、ただ愛する。
なんの効果もないかもしれないけれど、そうするしかない。
人間には、そんな瞬間がある。
その残酷さの上を、いかに美しく生きるか。
それが本当の「いのち」の凄さなんだと思う。
ぼくも含めて表面的なところに踊らされやすいけれど、忘れたくないことってあるよね。